2項目目、「小中学校の教員不足・未配置問題への対応」について
私の質問(1回目)
大きな2項目目として、「小中学校の教員不足・未配置問題への対応」について伺います。最近の新聞記事に、小中学校で教員が足りないという特集記事がありました。市内小中学校の児童・生徒の学力向上に向け、議会を含め様々な取組を行っている中、肝心の教員が不足するようでは、実効が上がらない訳で、今回はこの教員不足・教員確保の問題に絞ってお伺いしたいと思います。
1、記事は、8月5日の朝日新聞デジタルに載ったもので、見出しは(公立小中、先生が足りない 全国で1、241件 「未配置」)とあります。
以下、恐縮ですが、記事を紹介します。
〇全国の公立小中学校で、教員が不足している。教育委員会が独自に進める少人数学級の担当や、病休や産休・育休を取っている教員の代役などの非正規教員が見つからないためで、朝日新聞が5月1日現在の状況を調査したところ、1241件の「未配置」があった。学校では教頭が代わりに授業をしたり、少人数学級をあきらめたりしており、教育の質にも影響が出かねない。(記事)
〇単純計算すると、全国の公立小中学校約3万校の約4%で教員が想定より足りないことになる。文部科学省は教員の総数や雇用状況を毎年調べているが、こうした非正規教員の未配置の詳細は把握していない。国は教員の人件費を予算措置するが、給与額や配置は自治体に委ねている。(記事)
○同新聞が47都道府県と20の政令指定都市、大阪府から教員人事権を委譲された3市2町の計72の教育委員会に5月1日現在の未配置を問い合わせた。1,241件の内訳は、独自の少人数学級や特別支援教育などの担当が736件、病休教員の代わりが257件、産休・育休教員の代わりが223件など・・だった(記事)
○教委ごとにみると、未配置の最多は熊本県の103件で、茨城県102件(中略)、計52教委は、対応として、「教頭や副校長が担当した」と答えた。また、千葉県では学校の判断で学年を3クラスではなく、2クラスに分ける例がでている。一方、7府県9市2町の計18教委は「0件」と答えた。(記事)
〇ばらつき理由の一つは、非常勤講師の使い方に差があるためだ。非正規教員の中にはフルタイムで働き、授業の他に部活指導や公務なども担う常勤講師と、パートタイムの非常勤講師がいる。常勤講師が見つからない場合、非常勤講師を充てるかどうかは教委によって異なり、調査では47教委が「非常勤をあてた」と答えた。一方、熊本、茨城両県のように「非常勤講師をあてない」と答えた教委は、未配置が増える傾向にある。(記事)
以上が記事の概要であります。ここで、この記事を踏まえて、1回目の質問です。
(1)まず、教員の定数について、教員の定数は学校数や学級数に応じて配置する法定の基礎定数と、教育上の特別の配慮などの目的で予算措置をして配置する加配定数があると、理解しておりますが、
①教員定数を含む定数の決め方、制度の内容について説明願いたい。
②その結果として、市内小中学校の定数は何人となるのか?
③教育上必要な加配教員については、どのようなものがあるのか?具体例とその人数について伺います。
(2)市内の小中学校に於いて、未配置となっている学校はあるのか?ある場合について、どのような対応をしているのか?伺います。
(3)新聞記事によると、未配置の内訳でトップに上がるのが、独自の少人数学級や特別支援教育となっています。市は特別支援教育の充実に力を注いで来ていますが、この点に於いて、教員不足に繋がる事案はありますか?伺います。
(4)現在、非正規教員として、講師や非常勤教員が考えられるが、市ではどの位の方がおられるのか?小中学校別に伺います。また、近隣自治体との比較でみる本市の現状をお示し下さい。
(5)報道にある熊本、茨城のような「非常勤講師をあてない」という方針は、どういう考えに基づくものか?伺います。
以上、1回目の質問とします。
教育長答弁(1回目)
小中学校の教員不足・未配置問題への対応についてお答えします。
はじめに、教員の定数の決め方、制度の内容についてであります。教員の定数については、国が、義務教育の全国的水準の維持向上をはかるため、「公立義務教育諸学校の、学級編成および教職員定数の標準に関する法律」において、1学級の児童・生徒数に対して、配置される教員の定数が定められております。これに基づいて、各都道府県教育委員会が、基準を下回らないようにし、東京都教育委員会では、毎年1月に「東京都公立小・中学校教職員定数配当方針」を定めております。小中学校の通常学級に於いては、国の標準と同じく、小学校第一学年の基準を35人、小学校第二学年ら中学校第三学年までの基準を40人として、教員の配置を行っております。また、特別支援学級においては、小学校では、基準学級に1名加えた数が定数となり、中学校では、3学級以下の場合、基準学級に1名加えた数、4学級以上の場合は、基準学級に2名を加えた数が定数となります。さらに、特別支援教室に於いては、10人に1名の教員配置が行われることとなっています。
次に、市内小中学校の教員定数についてであります。令和元年5月1日現在、小学校では、398名、中学校では、258名、計656名であります。
次に、加配教員についてであります。加配教員の配置については、数種類の方法があり、校長の人事配置計画に対して、東京都教育委員会が認めた場合に、加配教員の配置が行われます。まず、「指導方法工夫改善加配」では、習熟度別の、少人数指導を実施する学校に対して加配されるものであり、小学校では、東小学校を除く全小学校において、算数の少人数指導に当たり各校1名、計16名が、中学校では主に英語、数学の少人数指導の実施に当たり8校、計12名が配置されています。
次に、「不登校加配」では、不登校の未然防止及び不登校生徒への支援充実を図るものであり、市内3校に各1名ずつ配置されております。次に、「小2加配」では、小学校第一学年から第二学年への進級にあたり、小学校第一学年の35人編成が、維持できるよう配置されるものであり、市内3校に各1名ずつ配置されております。最後に「中一ギャップ加配」では、中学校への進学にあたり、適切に環境に慣れるよう学級規模を35人編成にするものであり、市内3校に各1名ずつ配置されています。
次に、教員の配置の現状についてであります。現在、市内の小中学校においては、教員の「未配置」はありません。
次に、特別支援教育の充実に伴う、教員の現状についてであります。教育委員会では、配慮を必要とする児童・生徒が、各学校に配置されている、特別支援教室を利用し、適切な支援が受けられるよう、特別支援教育の充実を図っております。特別支援教室の実施に当たっては、東京都教育委員会から適切な人数の教員が配置されており、教員不足に繋がる事案は、生じておりません。
次に、講師や非常勤教員の配置状況及び、近隣自治体との比較でみる、本市の非常勤教員の配置についてであります。時間講師及び非常勤教員の配置については、初任者教員が、研修に出張する際の補充や、教務主任等の校務軽減にもよりますが、配置時数は各校で異なり一律ではありません。現在、時間講師は、小学校44名、中学校、51名、計95名。また、非常勤講師は小学校、14名、中学校、13名の計27名の配置となっております。なお、時間講師及び非常勤教員の配置は、各校の実態よって異なるもので、あることから、近隣自治体の実態については、把握していりません。最後に、熊本県や茨城県のような「非常勤講師をあてない」という方針について、お答えします。それぞれの教育委員会に問い合わせをしたところ、基本的に、定数配置の人数に対しては、公務分掌の役割分担や、部活動の指導等を考慮した際に、常勤の講師を配置するのが、妥当とのことであります。しかし、一昨年度から常勤の講師が見つからない現状が発生しており、今後、授業もままならない状態が続くのであれば、非常勤講師の配置も視野に入れて行くとのことでした。
私の質問(2回目)
小中学校の教員不足の2回目の質問です。
1、少し古い話となりますが、2017年、7月4日 NHK朝のニュース、おはよう日本の中、今朝のクローズアップでの(小中学校で「先生が足りない」理由)という題名の特集番組で指摘された問題を取り上げさせて頂きます。NHKも今回の朝日新聞と同様の調査、都道府県と政令指定都市、合わせて67の教育委員会に取材しております。2017年4月時点で定数に対し、少なくとも717人もの教員が不足していた。と報道しました。つまり、ここ数年未配置のこういう状況が全国各地で続いているということと思いますが、NHKのこの番組では教員不足の理由を掘り下げ、次のように指摘いていきます。以下、アナウンサーのコメントを抜粋します。
・教員が不足する学校では、教頭などが担任や授業を受け持つなどして、影響を最小限にしているが、中には、授業が出来なくなるところも出ている。
・教員不足の大きな要因が「臨時採用」の教員、いわゆる「臨採」です。通常、病気や産休などで欠員が生じた場合、この臨採で補充するが、その確保が出来なくなっている。
・その背景にあるのが、少子化を見越した教員の採用の見直しです。今後、少子化がさらに進むと教員の定数が削減されるため、教育委員会は、正規教員の採用を抑えて、非正規雇用の臨採の枠を広げている。
・しかし、枠を広げる一方で、思うように、なり手は増えていない。こういう中、苦肉の策として「幼稚園の教員が小学校の助教諭免許を得て」教壇に立つ例がある。「助教諭免許」とは、小学校の免許を持っていなくても教えることが出来る、特例制度です。教員免許は 幼稚園・小学校・中学校などにわかれ、本来はその範囲でしか教えることができないが、いずれかの免許を持っていれば、指導能力があることを条件に、3年間に限って、免許を超えて指導できると法律で認められている。
・「助教諭」という特例制度に頼らざるを得ない学校は珍しくなく、2015年全国で発行された助教諭の免許は5、000件余りに昇っている。
・教員不足の特効薬はないが、実は教員免許の取得者は減っていない。また、教員免許を持ちながら、子育てなどで職場を離れている、いわゆる「潜在教員」もいる。つまり、すぐにでも臨採になれる人は一定数いる。そうした人たちを、いかに取り込んでいけるかが、対策の鍵になると言える。文科省は教員の仕事のやりがいなどを広く伝えることで、教員志願者の裾野を広げていきたいとしている。
・一方専門家は、教員のやりがいを訴えるだけでなく、国が財源を確保して、採用構造を見直す必要があると指摘する。ここで、番組はある大学教授の指摘を紹介し、その指摘として、「教員の採用計画を長期的に再検討することは、各自治体がしなければならない。(但し)自治体の裁量では格差が出てしまうので、国の支援は欠かせない」との意見を紹介。その上で、但し、中長期的な対策も必要だが、即効性のある対策として、教育委員会の中には、一定期間、臨採として勤務すれば、正規教員になるための採用試験の一部を免除するなどの措置に乗り出すところも出ている。教育委員会や国はあらゆる対策を取って、教員不足の解消を急いでほしい。と結んでいます。以上は、番組からの指摘ですが、
2、この番組では教員の未配置・教員不足の要因の一つに、人口減少という大きな問題があり、これに伴う国の施策・方向性が大きく影響していると指摘しています。少子化の問題は様々に影響を及ぼしている訳ですが、教育現場では、今後の少子化の進展により、2024年までに子供の数は94万人減少し、減少するクラス数は21万と見込まれています。これに伴い、財務省は2024年までに教職員定数は3.7万人減少すると公表して、物議をかもしました。一方文科省は、今後増加する特別支援学級また教育の質の向上・いじめ問題への加配等を考慮し、同省の「教職員定数改善計画」では、同年度までに6千人程度の減少、つまり人口減少に伴う自然減に対しては3万人の増員を計画しています。
2回目の質問です。
(1)この番組の指摘にあった、少子化がさらに進むと教員の定数が削減されるため、教育委員会は、正規教員の採用を控えて、非正規雇用の臨採の枠を広げている。・・・こういう事実は市でもあるのか?伺います。
(2)教員不足の中、担任が長期間休む場合、どのように補充して行くのか?また臨時採用の必要が生じた場合、どのような手立てで採用するのか?その際に人材は十分に確保できているのか?また、いわゆる「潜在教員」にも声をかけるのかなどについて伺います。
(3)番組の中で紹介された、幼稚園教員に助教諭免許を付与して、臨時採用したような例はあるのか?東京都及び青梅市の実情についてお示し下さい。
(4)臨採として一定期間勤務すれば、正規教員への試験を一部免除する。このような例はあるのか?東京都及び本市、近隣含め実情を伺います。
(5)青梅市の教員採用計画とはどんなものなのか?今後変えて行くべき点、それに向けてのスケジュールなどがあれば、お示し下さい。
教育長答弁(2回目)
まず、非正規教員である臨時的任用教員の枠を、広げている実態についてであります。東京都教育委員会では、基準学級数により、教員の基本定数が定められており、適正に教員が配置されていることから、非正規雇用の臨時的任用教員の枠を広げているという実態は、有りません。
次に、担任が、長期間休む場合等、臨時的任用教員が必要になった場合の、採用についてであります。教員が、何らかの理由によって、長期休暇を取得する場合、担任している学級または、担当している教科の人員を、補充する必要があります。補充採用は、校長が、東京都教育委員会に応募・登録された非常勤教員と連絡を取り、条件が一致した場合に、採用することになっています。また、市内においては、校長間で情報交換に努めており、教員養成系大学と連携を図り、教員志望の学生に声をかけるなど、様々な手段を活用し、教員の未配置を防いでいる現状があります。つぎに、幼稚園教員の助教諭免許を付与して、臨時採用をしたような事例及び東京都、青梅市の実情についてであります。助教諭免許状とは、幼稚園、小学校、中学校の教員免許状を持っていれば、指導能力があることを条件に、3年間に限って、免許の範囲を超えて、指導できル臨時免許状のことで、教育免許法施行規則に、位置づけられているものであります。この制度を活用した他の自治体の実態は、把握しておりませんが、本市においては、この制度を活用した教員の配置は、有りません。
次に、臨時的任用教員が、一定期間学校に勤務した場合の正規教員の試験の免除についてであります。東京都教育委員会の場合、教員採用試験を受験する以前の3年間において、産休・育休代替教員および、期限付任用教員等の臨時的任用教員として、12か月以上の勤務経験のあるものについては、第一次試験の、教職教養試験が免除されます。また、本年度期限付任用教員として、学校に配置された教員は、あらたに、翌年度の正式採用に向けて受験をする必要があり、その場合は、第一次選考である教職教養、専門教養、論文が免除され、第二次選考の集団面接と個人面接及び実技のみとなります。
次に、青梅市の教員採用計画についてであります。教育の質の向上には、計画的に、力量のある教員を採用して行く必要があります。このことから、東京都教育委員会が実施している、教員公募制度を活用し、本市の自然豊かな中で行われている、各学校の教育活動をつたえたところ、本年度は、18名の教員が、本市に関心をしめしていただいたところであります。このように本市の教育に関心を示された方を、積極的に採用するとともに、各学校の校長が考える、教員の配置計画を、最大限に実現できるよう、東京都教育委員会に要望し、力量のある教員を採用できるよう努めてまいります。
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